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Posted by チェスト at

2013年05月14日

航空学生の話 6 〜ミッションインポッシブル編〜

 理不尽な指導を乗り越え、走ったり泳いだり筋トレしたりを繰り返し行われ、ついに時間は17:00を迎えます。ラッパの音と共に国旗が降ろされるのですが、その間は国旗の方向を見続けていなければなりません。動くことすら許されません。

 ラッパの前に作業服にアイロンをかけて着替える準備をしておきます。ラッパが鳴り終わると同時に寝床の準備を速攻でします。17:00を過ぎてからでないといけないのです。それより前にするととんでもないことになります。そんなことを言われたら誰も5時前に布団に触る人間なんていませんけどね。

 毛布を二枚使い、シーツをシワ1つつけないようにビシッと張り詰めた状態にしておかなければなりません。シワがあったらまた先輩によって滅茶苦茶の状態にされます。朝のたたむ時より時間はかかりませんが、10分弱はかかります。一ヶ月もすればホテルのベットメイキングの仕事の専門職になれると思います。早い・綺麗・完璧の三拍子がそろってますので、ホテル側も喜んで採用してくれると思います。余った毛布が3枚ありますので、それは朝と同様に包丁で切ったように綺麗にしなければなりません。


 17:15、夜御飯を食べに食堂に向かいます。夕食はそれなりに量も増えるため、朝の3倍の時間が確保できますので、食べる時間は15秒はあります。宿舎から食堂までの往復時間が大体10分位で、並ぶ時間が5分くらいで食べる時間が15秒だと本当に食事が無駄な時間と思えてしまいます。食堂を出て部屋に帰りまた作業着にアイロンをかけます。

 17:40にはまた集合がかかっているため間に合うように気合を入れて間に合わせなければなりません。しかし、間に合わない人が当然の如くいます。間に合わない人を助けにいき、完了は17:50くらいになります。また、先輩方のありがたい指導が待ち受けております。朝と同じように必殺の言葉、皆さんも一緒に!

『口で言ってもわからないんなら体でわかってもらうよ!』

夕方は比較的時間があるため眺めの指導となる為内容もきつくなります。その指導の時に雨が降っていると、部屋の中での指導となりますが、その時がまたきついんですよ。地獄の空気椅子があるんです。僕は卑怯な人間なので、少しでも溝があるところを目掛けて空気椅子の体制をとりました。
そんな体でわからせるありがたい指導にもう1つ入ってくるのが、軍歌の指導です。2週間で15曲、2番までを覚えなければなりませんでした。全く知らないジャンルである軍歌をです。街中でしか聞いたことがないほどレアなものですよね。しかも、力の限り、大声で叫ぶように、音程関係なく歌わされます。もはや歌ではなく叫び声で奇声をあげてるようなものと思ってください。ケンタ君の妹が聞いたら警察に通報すると思います。もちろん、歌えない人がでてきます。まさにそれが僕です。覚えてなかったり、忘れてしまった時にでる必殺技があります。わからないところになると咳き込むのです。しかし、僕が声を大きく出すときは結構響き渡るので、僕の声が聞こえないとすぐわかってしまうのです。そして、いつも咳き込むから歌えてないのがばれるんです。すると、先輩方からその事を指摘され

「一人で歌え!」

といわれます。みんなで歌っていてわからないところは口パクや咳でごまかせるが一人となると不可能となり、歌えなくなり結局、

「すみません!まだ、覚えてないであります!」

というしかないのです。その時のやり取りを書きましょう。

先輩『おい!坂上!お前今の歌ちゃんと覚えてんだろうな〜!?』

僕『はい!』

先輩『だったら前に出て1人で唄えるんだろうな〜!?』

僕『・・・はい!!』

先輩『よ〜し、だったら前に出て唄え!!』

僕『・・・はい!!!』
(忍者のように素早くみんなの前へ)

僕『エンジンの音〜、轟々と〜〜〜〜〜ゴニョゴニョ・・・・唄えないであります!!!!!』

先輩『あ〜ん?!お前さっき唄えるって言ってたじゃねーか!お前俺に嘘付いたんか?!?!』

僕『いいえ!そんなつもりはありません!』

先輩『つもりじゃないってなんだよ?!お前俺を舐めてんのか!!』

僕『いいえ!舐めてません!』

先輩『じゃーなんで嘘付いたんだよ!』

僕『すみません!!!!!』

先輩『謝って済むなら戦争は起こらねーんだよ!』

僕『すみません!!!!!!!!』

(同期の方を向き)先輩『おい、お前ら、坂上が俺に嘘付いてたぞ!どうすんだよ?!お前らも責任取るんだろうな〜!?!?』

同期『はい!!!』

先輩『おい、坂上、ありがたいなぁ。お前はそこで同期が責任とる姿を見とけ!!!』

僕『・・・はい!!!』

(必殺の殺し文句)先輩『口で言ってもわからないなら体でわかってもらうよ!腕立て伏せの姿勢をとれ!』

同期『1、2、3、4、5、6、7、8、・・・・・・』

僕『私もやるであります!9、10、11』

先輩『お前俺の命令が聞けねーのか!!!お前はそこで見とけ!!!』

(涙ながらに)僕『いえ、やります!13、14、15』

先輩『お前らやめろー!』

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このような熱血漫画で見るような内容のことを延々と繰り返します。唄えないことがわかり結局筋トレに移行するのです。 最早、ギャグですよ。


 19:00、一旦解散し風呂の時間となります。普通風呂と言いますと落ち着いて一日の疲れを流してくれる場所ですが、ここでは全く違います。風呂に入ることがこんなにも無駄だと思うことはありません。

 解散を言い渡され、自分の部屋にダッシュで帰り着ていた作業着にアイロンをかけそれを着て、歩いて5分程の風呂場へ走って行きます。そこに着くとすぐに服を脱ぎ捨て風呂場に入ると、石鹸を泡立てそれを全身に塗りつけすぐに洗い流します。みなさん、誤解しないでください。体をこすって洗うんじゃないですからね。泡を全身に「塗り付ける」だけなんです。そして絶対に風呂に浸からないといけないので、風呂の中でスクワットを1回します。そうすれば肩まで浸かり入ったこととなるのです。風呂の滞在時間約30秒、着替えるほうが長くかかります。そこにはもちろん先輩の監視があるためちゃんと入らなければなりません。そして、また宿舎へ走って帰ります。自分の部屋に帰り着くと、もう全身汗だくです。普通風呂は汗を流しにいくものですが、ここでは汗をかきにいくものとなっております。
  

Posted by ぼくの手 at 13:10自衛隊系